他人の課題に踏み込んではいけない【自分にも相手にもメリットなし】

一般 人間関係

アドラー心理学の〝課題の分離〟を聞いたことがあるでしょうか。
氏の提唱する個人心理学で有名になった課題の分離。

ざっくり言えば「他人の問題にちょっかい出すなよ」ですね。
なぜなら、お互いにとって良くないよと。

実際に、人間関係のトラブルにもなりかねないのです。
最悪の場合、相手を余計に追い込むことにもなって逆効果。

今回は、自分と他人の課題の分離について解説しています。
親切とお節介のように、重要性を理解できるようになっています。

この記事でわかる内容

  • 誰の課題なのか明確に分ける
  • 逆に相手を追い込んでしまう
  • 自分の課題に目を背けている

それではひとつずつ解説します。

他人の課題に踏み込んではいけない【誰の課題なのか明確に分ける】


アドラーは著書の中で提言しています。
〝自分の課題と他人の課題を分けろ〟

では、自分の課題と他人の課題をどのように分けるのでしょうか。

アドラーは具体的な分け方も明言しています。
課題の結果を受け取るのが〝自分なのか他人なのか〟

ひとつ例を挙げると、

重大な悩みを抱えている友だちがいます。
あなたはどうするでしょうか。

「なんとかしてあげたい」
「こっちまで辛過ぎる・・」

その重大な悩みの結果を受け取るのは誰でしょうか。
アドラーは〝引き受ける〟という表現を使っています。

重大な悩みの結果を引き受けるのは、もちろん他人ですね。
結果、他人の課題ということになります。

他人も必要な課題を越えるために生きている

友だちが悩んでいれば、どうにかしてあげたい。
力を貸せるなら、貸してあげたいと思いますよね。

しかし、他人の課題は他人が向き合うしかないのです。
あなたも含め、人は誰もが未熟です。

レベルや性質に違いはあっても、必ず課題にぶつかります。
本人の成長に必要な課題にぶつかるのです。

場合によっては、あなたのせいで成長できないかもしれない。
あなたのせいで余計に追い込まれるかもしれない。

良かれと思っているのは〝あなたのエゴ〟かもしれないのです。

ひとつ補足しておきます。

なにもするなということではありません。
悩んでいると知れば、声をかけるのが友だちでもあります。

大切なのは、最終的に課題に向き合うのは他人だということ。
行きすぎた助言や「こうすべきだ」と強く言うべきではありません。

それは相手が決めることです。

どちらの課題かを間違えると、自分の理想を元に助言したりしがちです。
しかしあなたの理想が、相手の理想と同じとは限りません。

あなたの人生にも課題があります。
同じように、相手も乗り越えるべき課題があるのです。

この課題の結果は誰が引き受けるのか。
他人であれば踏み込むべきではないのです。

他人の課題に踏み込んではいけない【逆に相手を追い込んでしまう】


人は他人のすべてを知ることはできません。
親友であっても、それはほとんど無理なはず。

「自分はあの人のすべてを知ってる理解者だ」

そうは思っても、すべてを話すなんてかなり異例です。
ということは、すべてを知らないのに踏み込んでいるかもしれない。

同時に、相手をさらに追い込むことにもなりかねないのです。

他人の課題に踏み込むと余計に追い込むことがある

わかりやすく実例で解説します。

Hさんは、パートナーのMさんからDVを受けていたため離婚しました。
外でのMさんは、ありがちな良い人です。
離婚後、HさんもMさんもそれぞれが悩んでいます。
どちらもひとりで生きていくための課題に悩んでいました。

整理すると、
Hさんは本当の良い人。
ひとりで生きていくために気持ちを切り替えています。

Mさんは本当の悪い人です。
自分の悪い部分に気づき、後悔に追い込まれています。

どちらも悩んでいる状態。

ここで実際に起きたことです。
・Hさんは「あんな良い人と別れていいのか」と悪者の扱いです。
・Mさんは「あんな酷い人は忘れてしまえ」となぐさめられます。

わかりますか?
どちらも余計に追い込まれてしまったのです。

誰が追い込んだのでしょうか。
他人の課題に踏み込んだ人たちですね。

人は他人にすべてを話しているとは限りません。
本人が話していると言っても、確かめようがないのです。

行き着くところ家族ですら、すべてを知っていません。
過去の汚点、黒歴史や言えないことは誰にでもあります。

「あの人のすべてを知っている」
これは大きな勘違いであり、エゴなのです。

良かれとして言ったことが、相手を苦しめるかもしれない。
しかもこれは自分の課題ではなく、他人の課題なんだ。

つねに自分を見張る必要があるのです。

大切なのでもういちど言います。

他人の課題に踏み込むべきではありません。
仮に相談してきたら、しっかり聞いてあげるだけです。

その相談を元に、断言ではなく助言をしてあげるだけ。

他人の課題に踏み込むと、さらに相手を追い込むことがあるのです。

他人の課題に踏み込んではいけない【自分の課題に目を背けている】


自分の課題と他人の課題を分けられない人には特徴があります。

  • 相談されていないのに意見を言う
  • 本人を無視した正論を突きつける
  • 自分の課題からは目を背けている

私も含め、誰もがやってしまいがちなことです。

他人の課題に踏み込んで、相談されていないのに意見を言う

世間ではお節介と言われているパターンです。

本人は、あなたの知らないゾーンに入っているかもしれません。
自分の課題に向き合い、成長しようとしているかもしれない。

他人の課題を邪魔して、さらに踏み込んではいけないのです。

他人の課題に踏み込んで、本人を無視して正論を突きつける

相手の性格や、取り巻く社会的な環境は人それぞれです。

〝健康状態や経済的なゆとりは、ときに他人には理解できません〟

それなのに相手は、一般論や正論を突きつけられてしまうのです。
この行為は他人の課題の解決に少しも役に立しません。

正論など、誰もが言われなくても知っています。

本人のレベルで悩んで成長していこうとしているかもしれない。
仮に課題から逃げようとしても、それも本人の人生なのです。

他人の課題に踏み込んで、自分の課題からは目を背けている

私は以前、この失敗をしたことがあります。
自分が取り組むべき課題があるのに、後回しにしていたのです。

本当は取り組むべきだと知っています。
どうすれば良いのかも知っています。
ただ勇気がなく、自分の課題から逃げていたのです。

そんなとき、他人の課題には理想を言えるのです。
なぜなら飛び込むのは他人で、自分ではないから怖くない。

弱かった時期の自分の課題に気づいて、大きく変わりました。
結果的に、他人の課題に意識がいかなくなりました。

いろいろなケースがありますが、誰にでも課題があります。
あなたも私もその課題に取り組んでいるかもしれない。

一方で、完全に目を背けてごまかしている課題はありませんか?

以前の私はありました。
そして、相談に来る人に聞いてみると「ある」と答えることが多い。

自分の課題に集中して行動したら、他人の課題に時間は取れません。
さらに言うなら、意識すらしなくなったります。

取り組むべきは他人の課題ではありません。

他人の課題ではなく、自分の課題に全力で取り組むべきです。

他人の課題に踏み込んではいけない【まとめ】


いかがでしたか?

アドラー心理学に関する書籍は、いまや大ベストセラーになっています。

多くの人が参考にできると思えるからですね。
アドラーは、私も参考にしているひとりです。

興味のある方には、確かにおすすめできる内容です。
読んだことがない方は、とても参考になりますよ。

今回の記事をまとめます。

①誰の課題なのか明確に分ける
自分が悩んだときは、冷静に考えましょう。
その悩みの結果を引き受けるのは誰なのか。
他人であれば、それは他人の課題です。

②逆に相手を追い込んでしまう
他人の課題には踏み込むべきではないです。
しかもすべてを知れない他人に踏み込む。
結果的に、より追い込んでしまうことにもなるのです。

③自分の課題に目を背けている
自分に取り組むべき課題はありませんか?
自分の課題から目を背けて、
他人の課題に踏み込んでいるのでは?

大切なので最後にもういちど言います。

他人の課題に踏み込むべきではない。
同時に、自分の課題に他人を介入させてはいけないのです。

誰もが自分の課題に取り組むことで、少しずつ成長していくのです。

他人の課題は、他人の成長のために必要な材料なのです。